griffin avenue’s blog

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コムスンの挫折。。。

訪問介護最大手のコムスン(東京)が各地で不正に事業所指定を受け厚生労働省から指定打ち切りの行政指導を受けた問題で、親会社のグッドウィル・グループ(GWG、東京)の折口雅博会長らが8日、東京・六本木ヒルズにあるグループ本社で記者会見し、コムスンの樋口公一社長が引責辞任することを明らかにした。しかし、コムスン事業のグループ内譲渡については「当面凍結する」としながらも「選択肢の一つ」と述べ、介護事業から撤退する意思がないことも表明した。【産経新聞 Sankei Web 2007/06/08 17:09】

訪問介護最大手の「コムスン」の樋口社長が辞任を表明した。また囁かれていた「不正」そのものについては、決して企業ぐるみのものではなかった事を明確に表明し、併せて折口会長は、グッドウィル・グループからの引責辞任を否定した。。。

NPO社会福祉法人などと違い、株式会社は、どうしても利益を追及せねばならない事情がある。折口会長が「介護保険」と言う、ある種の「取りっぱぐれのない」ところに目を付けた着眼点は評価したいが、しかし介護保険の「懐」事情を鑑みれば?支払いの「査定」が、年々厳しくなる事ぐらいは?当然予見できた範囲内である。だが折口会長や樋口社長らは、その事を、あまりに甘く見ていた「フシ」が窺える。。。

そもそも全国の「特養老人ホーム」で、何パーセントの施設が「利益」を出しているものだろうか?私の知る限り甚だ疑問である。むしろ利益どころか?良くて「ツーペー」になれば最高で、殆どが慢性的「赤字体質」と見られる。。。

それ故。多くの施設で、収益改善の進まない責任を取らされた理事長が、約三年周期ぐらいで、次々と代わらされているとの話もある。ちなみに「特養老人ホーム」の場合。兎角、介護にはズブの素人ながらも?「資産家」という理由から、名誉職的に「施設」を立ち上げる者も少なくない。それ故。理事長職を維持しようと、恒常的な赤字を補って?消耗戦のような「資産投入」を余儀なくされている施設もあるようだ。全てではないにしろ?「介護保険」による施設運営には、厳しい現状が窺える。。。

コムスン」は会社組織だから?なお更のこと施設長に対する締め付けは厳しかった事が予想される。しかし一方では権利意識の高い利用者側からは、逆に「もっともっと」のサービスが求められている。この矛盾を埋めるのは?実際、容易なことではないと思う。。。

また、それ以前に、介護現場の、あまりに過酷な「労働条件」により、それでなくとも「ケアワーカー」や「看護士」の確保が難しいとされている。この慢性的な「人手不足」を解消するには?手っ取り早い手立てとして「人件費」で「釣る」他に現実的な道はない。だが保険で支払われる人件費の範囲内で、「人材の確保」に当たろうとすれば?かなり厳しい現状がある。かくして運営は更に過酷になるという悪循環が出て来てしまう。。。

現在、日本の高齢者人口は、政府の「当初予想」を、大幅に超えて急増しているとされる。それ故。地域の「介護保険予算」も決して潤沢とは言えない。むしろ?介護システムを「破綻」させない為にも?保険請求の審査は、より厳格なものへと向かわざるを得ない状況だ。。。

であれば?利用者側には、例え不満であろうとも、保険でお世話出来る範囲は、自ずと限定されるものであるとの認識を、草の根的に啓蒙してゆく必要がある。にも拘らず?エエ格好主義から?強引に推し進めようとすれば?最終的にその「シワ寄せ」を受けるのは?当然、介護する側の「スタッフ」であり、その為に起こる更なる「労働環境」の悪化は、強いては、彼らの抱く「志」をもくじき、挫折感から、入退職を繰り返す元になるのである。。。

私的に言うと、如何に施設に任せようと?本来、介護には家族がもっと拘わるべきであると申したい。一旦、施設に入れたなら?会いにも来ない家族が如何に多いことか。世話は、すべて施設にまかせっきりにし、一方で「権利意識」は、ムキ出しで、文句だけは三人前も?四人前も言う?許せない家族も少なくないとされる。ここでも「教育現場」における先生と親の関係に良く似た図式がある。。。

予算と言う資源が有限なら?その運用も限定となるのも致し方のないものである。介護を必要としている者が、生きてく上で、最低限必要な「食事」「着替え」「排泄」「入浴」という大まかなる四つのテーマさえ満たしていれば?最低限の生活は送れるのである。それ以上の細かい事に、一々クレームを付けるべきではない。。。

それ以上の事を臨むなら?むしろ当事者である家族が頻繁に施設に来て、入居者を慰めるべきである。どうしても事情があって来れないのなら?施設の「やり方」に任せるほかはない。実際問題。介護保険で出来る範囲は限られている。利用する側も、テイの良い「メイド」を雇った気になってもらっては困る。そこをキチンと理解させる必要がある。。。

おそらく「コムスン」も、それを知りながらも、敢えて現場に「ノルマ」らしきものを押し付け、無理やりにも「利益」を出そうとしたところに?そもそもの「間違い」があったのではないかと考えられる。だが折口会長によれば、会見の中で、そうしても尚、施設運営の実態としては、現在、全体で27億円もの「赤字」を出している事を明らかにした。。。

それにしても介護とは、如何に「金」の掛かる世界であろうか?トコトン介護の充実を図ろうとすれば?それこそ際限がない。「コムスン」の現状は、介護現場の置かれている厳しさを端的に現しているようにも見える。しかも「株式会社」では当然ながら「結果」が重視され易い。決して「赤字」は許されないし、「赤字」では銀行も支援してくれない。株主も許さないだろう。樋口社長や折口会長らは、多分、それらに対する「焦り」も有ったのではなかろうか?憶測だが、それらが背景で「不正」に手を染めてしまったのではないかと考えられる。色々な意見は有るだろうが、私は株式会社での介護事業は馴染まないように見えてならない。(高級志向で目指すなら別だが)。。。

ともあれ、不正行為は不正行為であり、正されて然るべきである。従がって今回の樋口社長の辞任は「当然の帰結」であり、その事に異論はない。今後「グッドウィル・グループ」は厚労省の指示に「真摯」に耳を傾けて頂きたい。そして責任の所在を明確にする上でも、グループを率いる折口会長は、今後、グループのCEOを辞任されるか?もしくは「介護事業」そのものを、グループから切り離すか?など、何れかの選択も視野に考えられる事が望ましいように思われる。果たして折口会長は、どの様な決断をなさるのであろうか。期待して見て行きたい。。(~ヘ~;)